2026.6.30 宮城県「加美よつば直播栽培研究会」の現地検討会で圃場巡回指導等を行いました。
「第37回秋田県JA農業機械大展示会」が6/17-18に秋田市の秋田県立スケート場で開催されました。同展示会は、JA・JA全農あきたが、秋田県の後援で毎年開催しているものですが、本年は「近未来の農機がここに集結!」をスローガンに、今後のスマート農業の普及を目指すものでした。両日とも1時間枠の講演会が企画され、1日目の枠で当会中央委員・中山が「乾田直播栽培の現状と栽培技術について」講演しました。講演会には、県内農業者やJA・自治体関係者等約150名の参加がありました。
【講演の要旨】
「加美よつば直播栽培研究会」は、宮城県JA加美よつば管内の加美郡色麻町・加美町において水稲直播栽培に取りくむ生産者で構成しています。同研究会は主に湛水直播栽培を行っており、例年、同会からの依頼で、水稲直播研究会の委員等が現地を訪問し、圃場巡回による現場での指導、現地検討会への出席等を行っております。
今回は、委員ら4名が6月30日に訪問し、管内の5ヵ所の圃場を巡回しました。また、地元から宮城県古川農業試験場及び大崎農業改良普及センターの担当官が参加され、農薬メーカーも5社参加されました。
今回巡回した5ヵ所のうち3ヵ所は湛水直播栽培、2ヵ所は乾田直播栽培(うち1ヵ所の巡回先の1圃場は節水型乾田直播栽培で菌根菌のマイコスを使用)でした。この地域は長年湛水直播栽培を中心に直播栽培に取り組んでおられ、経験も豊富で、今年も出芽・苗立ちは多くの圃場で順調でした。湛水直播圃場では雑草防除は上手く行われていました。
圃場巡回終了後、JA加美よつばの営農センターで、水稲直播研究会委員、古川農業試験場、普及センターなどによる巡回の講評及び質疑・応答が行われました。また、農薬メーカーからは製品のご紹介をいただきました。

2026.6.17 第37回秋田県JA農業機械大展示会で講演を行いました。
「第37回秋田県JA農業機械大展示会」が6/17-18に秋田市の秋田県立スケート場で開催されました。同展示会は、JA・JA全農あきたが、秋田県の後援で毎年開催しているものですが、本年は「近未来の農機がここに集結!」をスローガンに、今後のスマート農業の普及を目指すものでした。両日とも1時間枠の講演会が企画され、1日目の枠で当会中央委員・中山が「乾田直播栽培の現状と栽培技術について」講演しました。講演会には、県内農業者やJA・自治体関係者等約150名の参加がありました。
【講演の要旨】
乾直の面積は平成一桁の頃5千haほどで長期漸減傾向。H10年に愛知県開発の不耕起V溝播種機市販化以降、栽培面積は増加に転じ、不耕起V溝播種直播(以下、V直)は愛知県内外で普及面積を拡大。一方、H17年にNARO式乾田直播(以下NARO式)も現地実証を開始し、東日本大震災後の復興プロを経て、平成末から令和にかけて東北、北海道地域を中心に拡大。両方式の普及により、R5年には湛水直播を栽培面積で上回り、R6年現在2.3万ha。
現在、乾田直播、湛水直播とも様々な方式が選べる状況で、経営環境、圃場条件、気象条件を勘案し最適な方式を選ぶことが重要。かつて乾田直播は、暗渠の開閉で排水・止水切替え可能な水田に限られたが、現在面積を増やす2方式は、乾田期は表面排水で、入水後の止水は土面で、が特徴で、それにより乾直可能面積が飛躍的に増加。V直は愛知県の重粘な水田で耐候性の高い播種技術として開発された技術で、安城地域の慣行である冬季代かきとセットで技術確立。積雪地では融雪水を利用した早春代かきで可能。愛知県でのV直開発と並行して、現在の乾直の標準技術の多くが愛知県、農研機構、資材メーカー等の協力により実用化された点も乾直拡大に貢献。
他方、NARO式は水持ちの良くない火山灰土水田で開発された技術、強鎮圧による止水、作業性の向上のためのプラウ耕による耕盤破砕と代かきの排除、畑作用大型機械による高速作業が特徴。乾直の導入により省力化、労働ピークの分散は可能だが、資材費増、機械費増などコスト増要因もあり生産コストは収量によるところ大。乾直導入により浮いた労働時間をどう収益に結びつけるかのビジョンも必要。技術的には、播種に向けた圃場準備は天候次第なので、秋・冬の作業可能日数の把握が導入に向けた第1歩。全体として省力であるが、排水対策、雑草防除など手を抜けない作業あることは要注意。
講演後の質疑では、「乾田直播での収量と労働時間」について質問があったほか、講演会閉会後、秋田県職員の方を含む多くの方が演台の前に行列を作るというまれにみる事態となり、直播栽培に対する関心の高まりを肌で感じました。その際、農業者の方からは「乾田直播はドローンで可能か」、「乾直を実施したところ苗立ち過剰となったが対策は」、「乾直用肥料でも窒素肥料は1.5倍必要か」などの質問がありました。農機展示会場は全て回ったわけではありませんが、会場入り口近くの屋外展示で、ケンブリッジローラ、グレーンドリル、スタブルカルチ、レーザーレベラなど乾田直播用作業機が多数展示されているのも目を引きました。

2026.6.16 ふくい農林水産支援センター研修で講演を行いました。
福井県は都道府県で2番目に水稲直播の普及率が高いところです(令和6年度産11.6%、農水省調べ)。ふくい農林水産支援センターは同県農業発展などへの寄与を目的として様々な取り組みをされていますが、このほど水稲直播に関する研修会を企画され、当会会長・松村が「水稲直播栽培の現状と展望」として講演を行いました。
鯖江市のNOSAI福井が会場で、県内農業者やJA・自治体等関係者約70名が参加されたほか、オンラインで県内他地域へも配信されました。
【講演の要旨】
移植稲作はアジアの温暖・湿潤な環境下で育まれ定着した栽培法。ヨーロッパへは西アジアや中近東経由で13~16世紀に伝わった。欧州稲作が直播に切り替わったのは比較的新しく、1950~60年代の労働力不足が契機となり1970年までに移植は無くなった。アメリカ合衆国やオーストラリアはごく一部を除き最初から直播栽培。現在、中国や東南アジアでも労働力不足が契機となり直播は伸びつつある。
日本では近代以降3回の直播普及の波があった。
第1の波は明治~昭和初期の北海道の湛水直播普及で、昭和11年16万haに達し(日本史上最高の普及)、その後は度重なる冷害、保護畑育苗の普及で移植が復活した。第2の波は高度成長期の岡山県や佐賀県などでの乾田直播
普及で、干拓地を中心に昭和49年全国で5.5万haに達した(アジア太平洋戦争後最大の普及)。第3の波は昭和末の湛水土壌中直播技術の開発に始まった。平成初め底を打った直播面積は、急速に進む農業者減少を背景とし、カルパー剤や鉄剤など種子粉衣を行う湛水直播の普及により増加に転じた。
その後、愛知県のV溝直播や農研機構のNARO方式直播など新たな乾田直播技術も加わり
、現在もこの波は続き面積が拡大している。歴史的に見た直播普及背景には常に「労働力不足」があり、省力性こそが直播技術の本質である。農業人口減少が進む中、直播普及は今後さらに進むであろう。
今後の課題として、乾田直播では、雑草防除の安定化、漏水抑制のための鎮圧などによる止水の安定化とその条件解明・明確化などが求められる。実証研究と普及を進める中で、これらの課題は急速に解明されるだろう。湛水直播では出芽安定化のための種子近傍の酸素環境改善に関する新たなブレイクスルー技術が必要である。乾田・湛水の両方式とも根本改善として品種能力の改良が求められる。イネの初期生長能力に関する生理形態的研究は様々あるが、育種技術と品種育成に繋がったものはまり無く、今後大いに期待される。
一例として、種子に蓄積する特定成分の改良に関する研究例を示した。講演終了後の質疑では、「直播での収量確保」、「直播での特別栽培米生産の可能性」、「節水型乾田直播について」、「直播での減肥」、「鳥害(カラス害)対策」などの質問を受けました。受講後の感想を拝見すると、参加者の幅が広いこともあり全ての方に満足いただける話では無かったようですが、頂いたご意見を参考に、内容の改善に努めたいと思います。
2026.6.10 新潟県「さんとう北部水稲直播研究会」の現地研修会で圃場巡回指導を行いました。
「さんとう北部水稲直播研究会」は、新潟県のJAえちご中越の北部地域において水稲直播栽培に取りくんでいる生産者で構成しており、同JAのさんとう北営農センターの管内にあります。
同研究会では、主に湛水直播栽培を行っており、例年、同研究会からの依頼で、水稲直播研究会の委員等が現地を訪問し、圃場巡回による現場での指導、現地研修会への出席等を行っております。
今回は、委員ら4名が6月10日に訪問し、出雲崎地区、和島地区、寺泊地区、三島地区の計9ヵ所の圃場を巡回しました。また、農林水産省穀物課の担当官にも参加して頂きました。この他、除草剤メーカーも3社参加されました。
昨年は、天候と鋤き込まれた前作水稲残渣の多さもあって土壌還元がひどく、出芽苗立ちが悪いほ場が見られました。今年は、一部圃場で取りこぼした雑草が見らたものの、概ね除草剤で的確に抑えられており、また、海に近い地区での強風による若干の生育の遅れ、住宅地に近い圃場での雀害が若干みられたものの、全体的に巡回した圃場での出芽苗立ちと生育は順調でした。

2026.4.23 令和8年度水稲直播研究会総会・理事会を開催しました。農林水産省から、米政策と稲作に関するご講演を行って頂きました。
当会の活動は、年1回開催する総会において会員の皆様に審議いただき決定・ご承認を受けています。
今年度は4月23日に東京千代田区の(公財)都道府県会館会議室において総会・理事会を開催し、令和7年度事業報告及び収支決算の承認を頂くとともに、令和8年度事業計画及び収支予算を決定していただきました。
水稲直播栽培に関する関心が各方面で高まっており、研究会への問合せも多くなっている中、今年度も水稲直播技術の普及推進に努めてまいります。
総会・理事会終了後、農林水産省穀物課 阿部 大樹 課長補佐様から、「これからの米政策と稲作について」のタイトルでご講演をいただきました。令和の米騒動を巡る事情や今後の米政策の取り組みなどについて、貴重なお話をいただくことができました。ここに厚く御礼を申し上げます。
2026.2.27 令和7年度さんとう北部水稲直播研究会反省検討会に出席しました
新潟県のJAえちご中越管内で開催された「さんとう北部水稲直播研究会反省検討会」にお声がけいただき出席しました。
この地域は平成14年から直播栽培に取組み翌15年に「さんとう北部水稲直播研究会」を設立し、以降、圃場巡回先進地視察、反省会、総会などの取組を通じて会員相互の情報交換、JAや県振興局からの営農・技術指導を受けながら直播の面積の拡大と生産安定化を図ってこられました。
検討会では、松村から「湛水直播の出芽不良要因とその対策」のタイトルで湛水直播における出芽不良について話題提供しました。出芽不良の多くは播種後落水管理の不徹底によるものなので落水の確実な実施が重要。不徹底の場合、前作残渣等の未熟有機物が多いと土壌還元や有機酸発生がひどくなり出芽障害が助長する、苗腐病菌のピシウム菌は土中で種子を座死させるがその被害は播種直後に集中するので落水は一刻も早く行う、などを説明した。
中山委員からは、「近頃伸びている水稲乾田直播の技術的特徴」のタイトルで、愛知県のV溝直播技術、農研機構のプラウ耕鎮圧体系乾田直播などが開発され、面積において乾田直播が湛水直播を上回るようになってきたこと、かつて乾田直播は「水もちの良さ」と「水はけの良さ」という真逆な条件を栽培ステージごとに要求し、これを両立できる圃場が極めて限定的であることが普及の妨げだったが、近年伸びている乾田直播の技術的特徴は播種後の乾田期は表面排水で対処し、入水後の止水は冬季代掻きや表層の強鎮圧で対応することにより、実施可能な圃場が飛躍的に増えたことを話し、普及が伸びている主な乾田直播方式の技術の概略とマニュアル類の入手方法について説明しました。
長岡地域振興局からは「令和7年度の直播の状況について」の話題提供があり、次年度以降の改善方策について指導・提案をされましたが、令和7年度は播種後の土壌還元の傾向があり出芽に影響を及ぼしたのではないかと指摘されました。
農薬メーカーの担当者からは直播用除草剤や生育調節剤等の製品紹介を現地圃場での実証結果などを織り交ぜて説明いただきました。
2026.2.26 滋賀県東近江市で水稲直播に関する講演を行いました
近畿農政局では令和7年度から東近江市において国営農地再編整備事業に取り組んでいます。整備後の圃場では野菜など高収益作目の生産拡大を図りますが、一方で土地利用型作物の水稲は直播栽培を導入し少人数での生産を考えています。そこで、直播栽培の基本と最近注目される乾田直播の技術について講演依頼がありました。
松村からは「水稲直播栽培に取組む心構え」と題し、日本では直播普及の3つの波があったがその全てで直播に求められたのは省力性で、直播の最大の特徴は省力性にあり、この特徴を営農で活用することが重要であることを述べ、技術的ポイントは「出芽苗立ち」「雑草防除」の2点で、これを改善する種播・栽培管理法、除草剤や種子被覆材の開発、品種育成などの進展を紹介し、実施する際は必ず栽培記録を取り、記録データに基づき普及組織等の支援を受けつつ問題の分析、対策立案を行うことが肝要などお話しした。
中山委員からは、「近年伸びている水稲乾田直播の技術的特徴」と題し以下の内容で講演した。平成以降に直播普及面積が伸び最初はカルパー直播など湛水直播が寄与し、V溝直播出現以降は乾田直播も徐々に伸び農研機構のプラウ耕鎮圧体系乾直がさらに押し上げて現在は乾直が湛直を上回るようになってきた。
かつて乾田直播は播種期以降の乾田期の「水はけの良さ」と入水以降の「水もちの良さ」という真逆な条件を要求し、これを両立できる圃場が極めて限定的であることが普及の妨げだったが、近年の乾直の技術的特徴は、乾田期は明渠による表面排水で水はけを良くし、入水以降の「水もちの良さ」は冬季代掻きや表層の強鎮圧で対応することにより、実施可能な圃場が飛躍的に増えた。
普及が進む乾田直播の主な方式の概略とマニュアル等の入手方法を述べ、東近江市で乾田直播に取組む場合、NARO式乾田直播に関してはすでに農研機構と滋賀県が作成した「滋賀県湖東・湖南版」の標準作業手順書(SOP)が公開されているなど紹介した。
今後、要請があれば他の機関とともに当会も事業推進に協力させていただくことを述べました。


